ブランドは「育てるもの」長期的視点でのブランド成長戦略

ブランディング業界に関わっていると、こういう質問をされることがあります。
「すぐに成果が出ますか?」「利益が上がりますか?」

ずばりお答えするなら、
それは戦略や計画・設計と仕組みによって成果に直結するものだと断言することができます。
もしも、緊急性があってご相談されるのであれば、マーケティング会社や経営コンサルタントをお勧めします。

この「即効性」や「短期的成果」は、決して悪いことではありません。
経済的な側面はビジネスをする人にとって、1番わかりやすいものだからです。
原価高騰・人件費の上昇、情勢による市場変動など、まさに不確かな時代性の中での雇用や維持管理、価値提供をしながら何もしなくても自然と出ていくお金のことを考えると、利益に走る事は普通のことです。

それは身近なSNSでも一緒です。
反応数やフォロワー数、投げ銭や購入といった指標が評価軸にされやすいのと同じように、多くの課題に対して求められるのは、短期的でわかりやすい指標やスキル、施策・企画なのは間違いないと感じています。しかし現代にはあまりにも手段として溢れすぎてしまっている印象もあります。

私個人の考え方をお伝えすると、両方必要だと感じます。
どちらを先にやったほうがいいのか、問題は順番ではないでしょうか?

こんな例があります。
1つは、どんどん新しいものを作ってコストがかかる短期的施策。
1つは、決めた所で施策・企画を勝負でき、コスト労力を下げられる長期的施策。


これは極端な例ですが、急がば回れ、PDCAを回す、様々なやり方がある中で、効果の高いところを絞って集中して創れるのがブランド構築のいいところです。前者と後者でコストの印象が違うのがわかりますか?
ブランドがしっかりできたらPDCAを回せばいいので、せっかくの時間、パワー、お金をどこに使うのかを選択していけるといいですね。

では、ここで質問です。

思い当たる企業やサービスの顔が浮かびますか?
社会や価値観が大きく揺れ動く現代こそ、商品やサービスという大小様々な形で存在する「ブランド」にこそ、この”長い時間軸”で考えることが問われているのではないでしょうか。

数ヶ月のトレンドを追うのではなく、5年、10年を見据えたブランドの在り方を定義して、こつこつ積み上げて育てていくことが、ブランディングです。

それが最終的に市場開拓したり、価格競争に巻き込まれない値上げ、顧客満足度や社員満足度、帰属意識や採用アップに繋がっていくように、それぞれで戦略立てて行動計画や施策に落としていきます。

その根本から見直していくと、「顧客との関係性をどう築いていくのか」「社会の中でブランドがどのような意義を持つのか」というような深い問いが含まれています。

どんなに巧妙なマーケティングを行ったとしても、それが一時的で一過性のものであれば、顧客との関係は薄くなり消えていきます。だから中長期的な支援をしている企業やサービスが多いと思いますが、問題は早く結果を求める企業が多いので、スポットや短期での施策が溢れてしまっています。需要と供給です。

そして、ブランディングは残念なことに、続けていかないとお客さんは忘れてしまいます。
一方で、「この会社はずっと変わらず丁寧だよね」「安心するよね」「やっぱりここが好き」そう感じさせるようなブランドは、年月をかけてコツコツと信頼を積み重ねてきた結果と、それが私たちのスタイルだと確信し、価値を提供する努力がそうさせています。

積み重ねて企業が大きくなっていくと、いわゆるIPOや大企業となっていくと思いますが、「ブランドやブランディングは大企業のもの」ではなく、大小関係なく、中小企業や零細企業、個人事業主に及ぶまで必要なものだと感じます。
昨今、日本を代表するブランドに成長したユニクロだって、最初は広島県の街の衣服屋さんからスタートしましたから、大小という問題は重要ではないように感じます。

ブランドとは、企業が長期にわたり、どのように在り、どのような価値を提供し続けていくのかの“理念やMVV(ミッションビジョンバリュー)”と日々の行動の“蓄積”です。
顧客はその積み重ねに安心感を抱き、やがて“ファン”となり、多くの時間と人生を重ねていきます。
手前味噌ですが、書いていて本当にそう実感します。

私たちは、つい住んでいる日本のことばかり考えてしまいますが、実は海外企業も身近な存在なので、日本企業と海外企業の例を出してみましょう。

上島珈琲店(UCC)
UCCは「コーヒー文化を育てる」ことを使命とし、創業から60年以上にわたり一貫したメッセージと品質を維持しています。特に上島珈琲店は、流行に左右されない落ち着いた空間と丁寧な抽出スタイルで、年齢層を問わずファン層を拡大し、2023年時点でのリピーター率は80%を超え、ブランドに対する定着性の高さが際立っています。

ミズノ株式会社
ミズノは創業1906年という老舗ブランドですが、単なるスポーツ用品メーカーに留まらず、地域のスポーツ振興や教育との連携など、社会的価値を意識した活動を続けている世界的なメーカーです。2022年にはESG(環境・社会・ガバナンス)評価で業界内最高水準を獲得。これは製品力のみならず社会的な「信頼」を育てた結果といえます。

スターバックス
日本国内に多くの店舗を展開するアメリカ合衆国ワシントン州シアトル発のチェーン店です。
「第三の場所(サードプレイス)」というコンセプトを持ち、従業員教育・店舗設計・社会貢献に一貫性を持って取り組んでいることから、多く世代から支持を得ています。2023年時点で全世界の店舗数は約35,000店を超え、地域ごとにローカライズされた空間づくりを展開しています。

アディダス
ドイツ発のスポーツブランドながら、サステナビリティを軸とした製品開発に力を入れ、「長く履ける」スポーツシューズや再生素材製品の導入などを通じて、短期消費文化からの脱却を図っています。2019年〜2023年の間に環境配慮製品の売上比率は45%から70%以上に伸長しています。

私たち中小企業は、地域に根差し、地域を支える企業が多く存在します。
そんなローカル企業は「顔が見える関係性」によって信頼を積み重ねてきています。

一方で、グローバルブランドは「変わらぬ哲学やスタンス」を構築し、それをビジュアルや商品を通して見せることで、文化や国を超えて信頼を獲得しています。

本質的にはどちらも、「一貫性」と「社会にとっての意味」を大切にしていることに変わりありません。短期的な認知獲得ではなく、「共に時間を過ごす」ことそのものがブランドなのです。

ブランドもブランディングも、けっして大企業だけのものではありません。
むしろ中小企業や団体、個人など、多くの人に持ってもらうことで、お客様・取引先などステークホルダーと良質な関係を作っていただきたいと常々感じています。それは最終的に持続可能な企業に通じるので、ぜひ意識に入れていただきたいエス。
すぐにできるステップを用意しましたので、考えるきっかけにしてみてください。

  1. 理念やビジョンを可視化し、社内外に定期的に共有する
  2. お客様との関係性を「記録」ではなく「物語」にして表に出していく
  3. SNSやWebでも“育てる視点”で語る
  4. 10年後のブランドを想像しながら日々の判断・行動を行う
  5. 社員や会社“らしさ”を発信する

特に1番が超重要なので、飛ばさないでくださいね。
私たちは、ノウハウを守るのではなく、多くの方が公平に挑戦できるように、小さな機会を提供しています。
今後は積極的にセミナーなどで学びの機会も作らせていただきます。
多くの企業では企業努力でうまくいっている所もありますが、部署や人材を用意できなかったり、「どうしても自分たちだけではできない!」そんな時は、助けてくれる私たちのような存在がいることを覚えておいてください。
あなたの隣で対話しながら、理念から戦略デザインまでを縦串一貫で一緒に創っていく伴走支援をしております。

あなたのブランドは、10年後に何を届けますか?

ブランドとは、商品やロゴではなく、「関係の時間」そのものです。
ロゴマークや店舗など形で見えるものも多くありますが、言語化されていない印象もブランディングの1つなのです。

企業がどれだけ長く、誠実に、誰かの人生に関わり続けることができるか。その問いの先に、真のブランド価値があります。

あなたのブランドが、10年後に届けていたい価値は何でしょうか?

いま、その種を蒔くときかもしれません。

お困り事やご相談など、お気軽にご連絡ください。

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上野 藍
1983年生まれ 神奈川県出身。農業高校卒業後デザイン事務所に勤務したのち独立。大手中小企業や行政のクリエイティブからアートディレクションまで幅広く手掛ける。一般社団法人デザインスクール理事ののち、2023年吉日合同会社ブランディングシード設立。未来を盛り上げる地域企業を支援。1児の母。

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